娘と鎌倉に行ったときの話
鎌倉に行くと観光用の人力車を目にする。
観光客を乗せた人力車を、真っ黒に日焼けした車夫が力強く引く。
神社仏閣など案内をしながら街を走りまわる、大変な仕事だ。
娘と銭洗弁天に寄った帰り、弁天様の坂道を降りると一台の空の人力車が路肩に止まっていた。傍らで車夫の若者が何やら緑のものを持って食べている。
私たちの後ろを歩いていた女性が、この車夫の知り合いのようで、
「お疲れ様、何食べてるの?」と声をかけた。
車夫の若者は元気よく答えた
「蕪(かぶ)」
何? かぶ?
そう、若者は生の蕪の葉を持って、白い部分をバリバリかじっていたのだ。
見ると、人力車の背もたれの後ろが網目のポケットになっていて
そこに、蕪が10本ほどささっていた。
・・・まあ、蕪、美味しいよね。葉っぱも食べてね。
でも、なんで蕪なんだろう?
考えていて、私の妄想がむくむくと広がった
---- 以下妄想です ----
銭洗弁天周辺はこの若者の持ち場で、彼はいつもこの辺りを観光客を乗せて走っていた。
ある日、近くに住んでいる老人が畑に寄った帰り、休憩中の若者に声をかけた。
老「あんた、いつも頑張って走っているが、ちゃんと食べてるのかね」
若「はい!」
老「野菜も食べてるかい?」
若「いや、野菜はちょっと・・・」
老人は、たった今畑から収穫してきた蕪を一抱え差し出し
老「これ食べな、栄養あるし生でも食べられる。水分補給にもなる」
若「え?いいんですか?」
若者は老人の優しさに心打たれ、ありがたく蕪をいただいたのだった。
そして、蕪の一本はその日のおやつになった。
---- 妄想おわり ----
きっとこんな良い話があったに違いない(笑)
単にこの若者が蕪好きなだけかも知れないね。
私も好きだ、蕪。食べたくなってきた(笑)