みちべぇの道

道だとか橋だとかが好きで、走ったり歩いたり道に迷ったり

新潟魚沼里帰りの旅①

魚沼の山村で育ち、一緒に野山を駆けまわった幼なじみのキドは、今は都会で暮らしているが、実家の管理を任されて度々通っている。

その実家の、封印されていた(?)炭炬燵を改造して囲炉裏を作ったので遊びにおいで、と便りをもらった。

炬燵を囲炉裏に! なんと魅力的な魔改造。是非行かねば。

ということで、9月28日(水)~10月1日(土)の4日間、山あいの部落に里帰り(友だちの家に)してきました。

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1日目

新幹線「とき」に乗ると気分が沈む条件反射からの卒業

東京駅で新幹線に乗って、窓の外を流れる都会のビル群を眺めながらぼんやり考えていた。

数年前、こんな風に一人で新幹線に乗って、ちょくちょく郷里の母に会いに行っていた。だんだんと弱っていく母を思い、心細く寂しい気持ちで窓の外を眺めていたっけ。

でも、今回は友と会い遊び倒すために(そして美味しいものを飲み食いするために)魚沼に行くのだ\(^o^)/。楽しいこといっぱいだ。

 

越後湯沢で新幹線を降り、在来線を乗り継いでいく。

今回は「のんびりゆっくりローカル列車と路線バスの旅」と銘打ち、キドの実家を起点にいくつかの景色のよい場所に連れて行ってもらえるということだ。が、1日片道3本運行のローカル列車と、通学時間帯以外は数時間に1本のバスで移動するのは、そんなにのんびりできないものだと、この後知ることになる。

 

30年ぶりの再会

小出駅で「秘境列車」と謳われる只見線に乗り換え、新潟市方面からやってくるキドを待った。

山間の幽玄な森を抜け清流を渡る只見線は、「世界で一番ロマンチックな鉄道」といわれているらしい(;^ω^)。が、それは福島県側の話で、始発の小出では普通の田舎列車。

 

高校の3年間は、雨の日も雪の日も、この只見線で通学した。思い入れのある列車だ。

2011年の豪雨災害で不通になっていた福島県の一部区間が復旧し、今年10月1日に開通するということで、開通記念の特別列車を見よう!、と計画している。

 

列車内で待っていると、キドが乗って来た。

キドとは年賀状とメールでのやりとりはしているが、実際に会うのは30年ぶりだ。私、キドのことわかるかしらと若干心配だったが、雪国の人らしい色白の顔に、笑うと限りなく細くなる目は昔のままで、一目でわかった。

うほーい、久しぶり(≧◇≦)

 

変わらないものなどない

二人で只見線に揺られ、最寄り駅に着いた。

駅舎は昔のままだが、無人駅になっている。駅前の風景はなんとなく閑散としていた。

キドの実家に向かう途中、私が昔住んでいた家の跡に寄ってもらった。

私の実家は、私が高校1年のときに隣村に引っ越したのだが、それまで住んでいた家はしばらくそのままになっていた。

しかし今は、坂の上の古い家も、家の周りの桃やカイドウリンゴやグミの木々も、小さい畑も、鯉とカエルのいた池も、何もない。家の前の土手と土手の下を流れる堀だけが昔のままだ。

私の原風景はなくなってしまった。そりゃそうだよね、世の中は変わるものだ。

消えたのは我が家だけではない。近所の老夫婦が住んでいた庵のような家もない。村落の大本家と言われていた大きなお屋敷も、周りの鬱蒼とした林ごとなくなっていた。

怪しげな(と子どもの頃思っていた)建物が取り壊され、集落全体がすっきりと整理された感じがする。

 

思ったより早くキド家に到着。駅からの距離感が子どもの頃と全然違う。

今夜は、囲炉裏で焼き鮎を食べるのだってヽ(^o^)丿。

破間川(あぶるまがわ)のヤナで捕れた鮎を、近所の家で保管してもらっているので取りにいくということで、ついていった。

 

まりさん(仮名)

「こんにちは~」玄関でキドが声をかけると、家の中から女の人が出てきて「まあ、上がりなされ」と手招きする。まりさん、私らの母親くらいの年代にも見えるが、シャキシャキとよく動く人だ。

私たちはこの後、バスに乗って買い物 兼 高校時代の友人を迎えにいくから、あまりゆっくりしてられないのだが、お茶ときゅうり、なす、瓜の漬物がすごいスピードで出てくる。

なんだか嬉しくなってテーブルにつき、おもてなしを受けた。

キドとまりさんは友だち同士、という感じがした。まりさんは明晰で面白く、キドと会話がぽんぽん弾む。

私が昔、この近くに住んでいたという話になり

まりさん「へぇ、どの辺(に住んでいたの)?」

私「松坂屋さんの横の坂をちょっと上ったところで、云々」

ま「ああ、お母さんは踊りの先生?」

へっ?なんで知ってるんだ  Σ(・□・;)。

まりさんは、私の母に踊りを習ったことがあるらしい。

というか、恐るべき記憶力。45年も前に村を出て行った者がどこに住んでいたかを覚えているなんて。

生家はなくなったが、まりさんの記憶の中には残っているんだ、という意外な事実に驚き、なんだかとても有難いと思った。

もっとゆっくりお話しを聞きたかったが、バスが来る時間が近づいているので退出。鮎の他に漬物や栗ご飯を持たせてくれたので、それらを抱えてダッシュ!した。

田舎は信号もなく、バスに乗る人もいないので、バスが遅れるということはまずない。ギリギリで間に合った ε-(´∀`*)ホッ。

 

囲炉裏端で宴会

夕方、にわか雨が降った。

家の窓から外を見ると、南側は雨が降っているが西側は晴れている。狐の嫁入り。これは虹が出るかも。

 

出た。

この後も、私たちはいろいろな美しい自然現象に出会う。まるで村の神様が歓迎してくれているかのように。(思い込み)

 

そして合流した友人2人も加え4人で炉端宴会。これはもう説明はいらないね。

 

 

金色の鮎、顔がコワイので見ないようにして頭からかぶりつく。苦いワタが美味。

生姜味噌の焼きおにぎり、友人Tは「いくらでも食べられる」と言って、いくらでも食べていた。

ナスのみそ汁、あったまる~。

友人Mが自宅で収穫した枝豆を持って来てくれた。茹でて美味しい枝豆、焼いて食べると甘みが増してさらに美味しくなることを発見。

菊花香る清酒、最高。

炭火の優しいぬくもりでホワンとなる(*^▽^*) 幸せな時間でした。

 

明日は、裏の山「上原(うわっぱら)」に登って朝ごはんを食べよう(#^.^#)計画。

 

 

(続きます)