みちべぇの道

道だとか橋だとかが好きで、走ったり歩いたり道に迷ったり

好きな本、面白かった本

新年早々、本の紹介もないだろうと思わないでもないですが、

先日の(去年だ)のブログでリチャード・バックの「イリュージョン」のことに少し触れたところ、もっと書きたくなったのと、ごっしーさんお薦めの、サマセット・モームの「月と六ペンス」を読んで、めっちゃ面白かったので、感動を残しておこうと、元日からPCに向かっております。

 

おっと、その前に

 

  ↑ 辰を描きました(よっぽど暇なの?)

今年もよろしくお願いします (≧◇≦)

 

「イリュージョン」

なぜだか好きな本。

気ままに生きている飛行機乗りと、引退(?廃業?)した元救世主が、短い間一緒に旅をする話。

ふたりが初めて出会った時の会話に、まず引き込まれる。

「寂しそうだね」ぼくは離れたまま声をかけた。

「きみもそう見えるよ」

「迷惑はかけない。邪魔なら退散するが」

「いいや、きみを待っていたんだ」

そう言われて、ぼくはにっこりした「遅くなって、すまない」

「とんでもない」

うーん、素敵(#^.^#)

 

私の本棚にあるのは、村上龍・訳の文庫本だが、今回はもう少し大きい文字で読みたくて(老眼が進んできた)、佐宗鈴夫・訳の単行本を図書館から借りてきた。佐宗の翻訳もシンプルでいいなぁ。

元救世主のドナルドの言葉や、「救世主ハンドブック」に書かれていることが

読むたびに、じんわりと沁みてくる

「ぼくたちは皆、やりたいことはなんでも自由にやってかまわないんだ」

と、ドナルドは言うが、その隣の行で「ハンドブック」がこう述べる

良心は
自分にたいする忠実さの度合いを計る尺度である。
注意深く
それに耳を傾けるのだ。

自由だけれど、それだけじゃない。

気持ちが軽くなるが、深くも考えさせてくれる。

人間に絶望している(と感じる)ドナルドを愛しく思う。

語ればきりがない、私の心の友(本しか友がいない)です。

 

「月と六ペンス」

図書館に行ったとき、そういえば ごっしーさんがおすすめしてたなと思い出して借りてきました。一昨日読み始めて、夜になって何度も もうやめて寝ようと思ったのだけれど止まらず、深夜1時まで読んでしまった。読んでいてドキドキした。

予想外に、ひどい(笑)話で、

いや、ひどいのは主人公 ストリックランドが非情な男ということで、そりゃあもうサイコパスかってくらい人に冷たいのですが、言ってることは正しい気がして、、

例えば、画家になるために妻を捨てて家を出たことに対して責められたときに

「ぼくは、十七年間彼女を支えてきたんですぜ。ぼくの代わりに、今度は彼女が自分自身を養っていくってのも、悪くないと思うけど」

と答える。なるほど、そうだよねと思ってしまう。

自由で正直で率直、世間の目は1ミリも気にしない。道徳って何?って感じの態度は読んでいてちょっと小気味よくも思える。

この剛速球の火の玉みたなおじさんは、どうしようもなく嫌な奴だけれどなんだか魅かれる。

 

この話には、ストリックランドの恩人であるストルーフェという見栄えの悪い男が登場するのだが、この人は、常軌を逸して良い人。困っている人を放っておけないという極端な性格で、ストリックランドにコテンパンに傷つけられるのだけれど、それでも最後まで優しい。病気みたいに優しい。ストリックランドを許せないけれども心配し手を差しのべようとする。心揺さぶられる愛すべきキャラなのだけれど、でも、悲しい。

登場人物が皆キャラがたってるのよねぇ。

 

終盤のタヒチでの場面は、息苦しいほどに濃密で、それでいて恐いほどの静寂さを感じ、はぁ~っ(T_T)て感じ(なんじゃそりゃ)

なるべくネタバレしないように、でも感動を伝えようとしたら、表現に無理が出てしまいました (;^ω^)

モームって凄いな。

ごっしーさん、面白い本を教えてくださってありがとうございます (*^-^*)

そしてこれは、私の好きな本にもなりそう。

 

しかし、大どんでん返しは巻末にあった。

図書館で借りたこの本、大岡玲の翻訳もとても良かったのだが、最後の訳者による解説に「紙幅の都合で全体を収録することができなかった。」と書かれていた。

モーム独特のお喋り――警句や辛辣な観察に満ちた寄り道――の多くをカットせざるをえなかったのは残念」って

( ゚Д゚) なんと!

読み終わってからそういうこと言うの? 最初に言ってよ~。

とても面白かったし、モーム独特のお喋りも読みたいので、全訳の本を買ってもう一度読みます。

 

新年早々、おまぬけな本の紹介ですみません。