みちべぇの道

道だとか橋だとかが好きで、走ったり歩いたり道に迷ったり

雨続き

深夜、自分の咳で目が覚める

ゼホゼホと咳き込みながら

耳の奥で音楽を聴いていた

いや、頭の奥か

子どもの声で

 

I used to say“I”and“me”
Now it's“us”, now it's "we”

 

と歌っている

美しい、切ない声

マイケル・ジャクソンがこの『ベン』のテーマをうたっていたのは14歳くらい?

この表現力はどうだ

 

僕は前は「僕」って言ってたけど

今は「僕たち」だ

ってね

 

僕たち、僕ら、我々・・・か

咳をしても一人 だがな

外から、雨の音も微かに聞こえる

 

 

翌朝も雨

傘をさして仕事に向かう道

俯いて歩き

ふと目を上げると

思いの他 明るい町が

雨で白く煙っている

「ああ、明るいんだな」

暗闇から解放された気分で

今度は、傘から滴る雨雫を見ながら歩く

 

川で、アオサギがゆっくりゆっくり

スローモーションのような歩みで

流れの中の魚を狙っている

真剣だけど、少しユーモラスな動きに

「頑張って、朝ごはんを捕るんだよ」と

励ましたくなる

 

人に対しては、どうも皮肉な目で見てしまう私だけど

鳥を見るときみたいに

柔らかな気持ちで 人と接することができたら

もう少し幸せなのかもしれない

 

道路わきの梅の木の赤い花が

やけに、雨空に映えて見えた